突然ですがスキーはなぜ滑るのでしょうか?

  実は未だに、はっきりと解っていないのです。しかし、これまでの研究や実験から「水潤滑説」という説が有力です。 これはスキーが滑走する時にスキーの滑走面と雪面との間に摩擦熱が発生し、その熱によって生じた水滴がコロの役割を果たしスキーを滑らせる、という説です。 しかし私たちの経験からこの説が支配的に作用するのは気温で+5℃〜ー10℃の範囲です。
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  この温度より高い場合、既に解けてできた大量の水分が存在するので、モーターボートが水面を走るような状態になります。このような時には、はっ水性の高いワックスが必要になりますが、それ以上に滑走面のストラクチャーが重要な要素になってきます。

  そして
−10℃より低温の場合、摩擦熱による水滴が発生しにくくなり、ガラスの粉の上をスキーが滑っているような状態になります。この様な時には、その時の雪の結晶よりも少しだけ硬く(硬すぎると滑らなくなる)、剥げやすいワックスが必要になってきます。実はこの「剥げやすさ」というのが重要なのです。これは言い換えると「自らを削って滑走性をたかめている」とも言えるのです。実はパラフィンワックスもフッ素系化合物も剥げやすい素材なのです。ただし、フッ素系化合物の方が分子間凝集力が弱い(要するに剥げやすい)ので滑走性があります。私達がフッ素系ワックスを使用する理由の一つはこれが要因なのです。

  実際にスキーが滑走するときには、前述した様々な要因が、様々な割合で影響しあっているものと思われます。そしてこれらの理論を基にスキーワックスは開発されているのです。


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