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ワックスの選択はその時の天候・気温・雪温・湿度・雪質などに左右されます。
ただ漫然とワックスを塗っていてもそのワックスのもつポテンシャルを発揮することはできません。
ワックスの性格を知り、ワックスの意味を知ることで状況に応じた選択が可能になり、高い滑走性が得られるのです。
このコーナーでは、当店のオリジナルワックスをベースに展開していきます。 |
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● ワックスとは
語源は蜜蝋ろうに由来し、現在では「常温で固体、加熱時に比較的低粘度の液体になる蜜ろう状有機物」と定義されていて、洩糸性がないこと、皮膜形成能があることなどが特徴としてあげられます。
ワックスの種類を大別すると次の表のようになります。
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分類 |
対象品 |
用途 |
石油ワックス |
パラフィンワックス
マイクロクリスタリンワックス |
ろうそく、紙加工、滑材、マッチ
クレヨン、化粧品、各種ワックス |
植物ワックス |
カルナウパワックス、キャンデリラワックス、木ろう |
食品用、つや出剤、可逆剤
化粧品、防湿剤 |
動物ワックス |
蜜ろう、ラノリン、鯨ろう |
鉱物ワックス |
モンタンワックス、オゾケライト、セレシン |
合成ワックス |
ポリエチレンワックス、硬化ヒマシ油
フィッシャー・トロプシュワックス |
カーボン紙、熱転写、ポリッシュ
ホットメイト、離型剤 |
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●炭素(C)の数(n)について
スキーワックスとして使用されているのは石油系ワックスが主です。その中で炭素の数が17から60程度のものが使用されています。滑走面のポリエチレンはワックスと基分子構造が同じなので、ポリエチレンには物が付着しにくいにもかかわらず、例外的によく付着するのです。
炭素の数が1から4の時は気体。8の時液体。17から60の時ワックス状になり、7万から8万の時スキーの滑走面に使われる 超高分子量ポリエチレン(固体)に変化します。
つまりワックスと滑走面の素材は非常に近い物同士ということです。
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●石油系ワックスについて
スキーワックスとして使用されているパラフィンワックスとマイクロクリスタリンワックスの特徴をあげてみましょう。 |
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パラフィンワックス
- 直鎖状である
- 結晶が大きい
- 表面がつるつるしている
- もろい
- 粘度が低い
- 微生物により分解される
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マイクロクリスタリンワックス
- 枝分かれしている
- 結晶が小さい
- 表面がべとついている
- 柔軟性がある
- 粘度がある
- 粘着性がある
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- これらの石油系ワックスに様々な添加剤を配合して出来たものがスキーワックスです。
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●ワックスの硬さ(針入度)について
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25度、5秒間、100gの重量で何mm入るかを求め、この値を10倍の数値で表わしたものがワックスの硬さです。一般に湿雪用ワックスで20〜28、乾燥粉雪で12〜18程度です。人工雪のアイスバーンなどでは非常に硬いワックスでないとベースバーン(滑走面が酸化した状態)が出来てしまうので4〜8のものが下地用として使用されている場合もあります。さらにワックスの耐久性向上のために、通常のワックスに硬いワックスを配合する場合もあります。(BBEL)
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●石油系以外の潤滑剤について
- 超微粒子
ポリエチレン、ポリテトラフルオロエチレン、アルミナ・シリカ、二硫化モリブデン・ガリウム
- 超微細短繊維
チタン酸カリウム、炭化珪素
- 板状物質
グラファイト・タルク、マイカ・バイオ系
*一般スキーワックスはこれらの潤滑剤を効果的に使用しています
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● 石油系、シリコン系、フッ素系の性状について |
分類 |
価格 |
はっすい性 |
はつ油性 |
防泥性 |
滑走性 |
石油系 |
安い |
ある |
ない |
ない |
普通 |
シリコン系 |
リーズナブル |
ある |
ない |
ない |
少し優れる |
フッ素系 |
高い |
ある |
ある |
ある |
最も優れる |
フッ素系が優れているのは、上の表のように全ての項目を満たしているからです。
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