ここからは一歩進んだ滑走面の作り方を提唱していきます。
チューンナップが済んで、そのまま「さあ、シーズンインだ。いざ、ゲレンデへ」という方以上を対象とします。

チューンナップの済んだ板には、通常ベースワックスが塗ってあります。ベースワックスは保護を目的としているので滑走性に優れているわけではありません。皆さんはこの後に滑走ワックスを塗ってゲレンデに出ていると思いますが、「上級者」になれば、たった2、3回のワクシングで「滑走面が仕上がっている」なんて思っていませんよね。
それでは雪の上に立つ前に滑走面を仕上げておきましょう。
次の工程を行っておけば、滑るための滑走面が出来あがります。

板によって滑走面の材質や硬さは違います。グラファイトソールだからといって全てが同じ硬さというわけではありません。ご自分の板に合ったワクシングをするために、ワクシングの回数などはご自分で決めてください。

始めは柔らかいワックス(H)を使用して滑走面とワックスを馴染ませます。なるべくたっぷり塗りましょう。
日を改めてスクレーピング、ブラッシングしてからワクシング、これを数回繰り返します。
柔らかいワックスは下地作りの中で一番重要なワックスになりますので、ここに時間をかけて下さい。

次に中温用ワックス(M)で、同様の作業を数回繰り返します。


次に低温用ワックス(L)で、同様の作業を数回繰り返します。

滑走面が徐々に仕上がっていくと一回に使用するワックスの量が減ってきているはずです。どの硬さのワックスを何回ワクシングしなさい、とは書けません。それは板によって必要とする量が違うからです。上級者なら上記の作業を繰り返しているうちに理解できるはずです。マニュアルを参考にするのではなく、板と対話して決めてください。板の方から「次のワックスにいってくれ」という返事が返ってきます。この意味は滑走面をよ〜く観察していれば解ります。(使っているワックスの量、滑走面への浸透具合など)
シーズン前の滑走面作りはここまでです。

●下地作り時の注意

  • 下地作りで重要なのは柔らかいワックスです。一定以上の硬いワックス(BBELなど)を何度ワクシングしても硬い滑走面を作ることなど出来ませんし、硬いワックスは浸透性が悪いので無意味です。
  • ワクシングで滑走面のケバ立ちを取ることなど出来ません。(ケバは寝るだけです) チューンナップ時にストーンフィニッシュで、ケバ立ちのない滑走面を作ってもらう(仕上げる)ことが重要です。 荒業であまりお勧めは出来ませんが、チューンナップから戻った板にリムーバを使ってワックスの成分を全部落としきってみればケバ立った(仕上がっていない)部分の見分けはつくはずです。

シーズン中

シーズン中は雪の上に立っている時以外はワックスを塗ったままの状態で滑走面を保護しておく。
フッ素ワックスを使用する時には、下に硬めのパラフィンワックス(BBEL)などを塗ってワックス自体の耐久性を高め、フッ素配合比を計算した下地を作る。
特にフッ素ワックスを多用する方はパラフィン要素の高いワックスで十分に下地を作っておくことが重要です。フッ素ワックスは剥がれやすい性質なので、フッ素の配合比が高くなればなるほどワックスの持久力がなくなるからです。


繰り返しますが、マニュアルを参考にするのではなく、実際にご自分の板の状態を正しく把握して、一回、一回のワクシングの意味を考えて作業してみて下さい。
答えはシーズンが終わった時に必ず解るはずです。

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